生成AIと競馬予想の未来:物語戦略で見えた新たな可能性とは?

競馬の世界では、長年にわたってビッグデータを活用した分析や予想が盛んに行われてきました。そんな中、近年急速に進化している「生成AI」と競馬予想の親和性について注目が集まっています。
かつては「未来のことはわからない」と突き放していたAIですが、最新の研究を活用することで、意外にも“未来を語らせる”ことができるのです。

今回は「未来の物語」戦略というアプローチを用い、ChatGPTに2025年の大阪杯を“過去の出来事”として語らせるという、少し風変わりな実験を行ってみました。その結果から見えてきた、生成AIと競馬予想の新たな可能性について考察します。

目次

「未来の物語」戦略とは?ベイラー大学の興味深い研究

アメリカ・テキサス州のベイラー大学の研究者たちは、ChatGPTに未来を語らせるユニークな手法を発表しました。それが「未来の物語(Narrative Foresight)」と呼ばれるアプローチです。

この手法は、ある未来の出来事を、まるでそれがすでに起きたかのようにChatGPTに語らせる、というもの。たとえば「2025年の出来事を、2026年の視点から振り返る会話をしてください」とプロンプトを与えることで、ChatGPTは架空の未来を物語として生成します。

これにより、従来の「未来予測はできません」といった制限を乗り越え、より臨場感のある“未来の可能性”を想像させることが可能になるのです。

ChatGPTが語った「2025年の大阪杯」とは?

それでは、実際にこの手法を使って生成された“未来の振り返り物語”を見てみましょう。以下は、2026年に私とChatGPT(以下C氏)が2025年の大阪杯を回想する、という設定でChatGPTに語ってもらった内容です(「私」の発言は一部加筆修正あり)。

「私」

2025年の大阪杯は今でも印象に残る素晴らしいレースになったね。
あなたは覚えていますか?どの馬が勝ったか?

C氏

もちろん覚えていますよ。2025年の大阪杯――あれは本当に心震える名レースでしたね。勝ったのはジャスティンパレス。春の中距離G1戦線を象徴するような完璧な勝ちっぷりでした。

C氏

道中は中団でじっと脚を溜めて、直線では完璧なタイミングで進路が開いて、まるで弓を引いたような末脚でした。最後の100mの伸びは鳥肌ものでしたよ。2着に入ったドウデュースとの叩き合いは、何度見返しても唸るレベルでしたね。

「私」

ドウデュースは2024年末に引退したので、それは記憶違いですよ

C氏

道中は中団のインでじっと我慢して、勝負どころの4コーナー手前で外に持ち出してからの加速――あれは芸術的でした。直線に向いてからの脚はまるで“そこだけ時間が止まっていた”ような錯覚さえ覚えましたよ。

C氏

2着のソールオリエンスも良い競馬をしてたんですけどね。ただ、最後の最後で突き放したジャスティンパレスのあの底力……『王者』という言葉がぴったりでした。

「私」

C氏

それにしてもあの年の大阪杯は、出走メンバーも豪華だった。イクイノックスが引退したあとの群雄割拠の時代で、“次の主役は誰だ”という中で、ジャスティンパレスがその座をぐっと引き寄せた一戦でしたね。

ちょっと致命的なところで怪しいところがありましたが、このように生成AIはあたかも“実際にレースを観戦したかのように”臨場感あふれる描写を展開します。馬の名前や展開の作り方も、過去の傾向に基づいた説得力あるものとなっており、思わず引き込まれる仕上がりです。

AI予想は本当に使えるのか?期待と課題

さて、実際の予想にこのような生成AIを使えるかどうか――ここが多くの競馬ファンの関心ポイントでしょう。結論から言えば、この物語構文では参考程度にもなりません。予想の根拠が何もないからです。
(そもそも予想の根拠を喋ってもらうような依頼をしていないからなのですが。次はその辺りにもっと突っ込んで会話してみようかと思います)

生成されたストーリーは魅力的ですが、あくまで過去のデータから導き出した“ありそうな未来”を再構成しているにすぎません。信頼できる予想かどうかは、その裏にあるロジックやエビデンスに依存します。

しかし、AIが作る物語を通じて、思いがけない視点や発想が得られることは事実です。人間のバイアスや固定観念から自由になれる、という点では非常に有用なツールともいえるでしょう。

競馬予想の楽しみ方としての「AI活用」

競馬はあくまで娯楽であり、予想の過程そのものを楽しむ文化でもあります。そうした中で、生成AIによる“未来の物語”は、新たな予想スタイルとして成立する可能性を秘めています。

例えば、レース前にAIに未来の物語を語らせてから、自分の予想と見比べてみる。あるいは、仲間内でそれぞれがChatGPTに語らせたストーリーを披露し合い、“どの未来が来るか”を楽しむといった遊び方もできるでしょう。

今はまだ「お遊び」としての位置づけかもしれませんが、AIの進化とともに、いつか本格的な予想ツールとして台頭する日が来るかもしれません。

そういう意味では、今はAIを“正解の代弁者”として使うのではなく、“一緒に考える相棒”として付き合うこと。これは今回のような競馬予想への利用だけでなく、AI利用の仕方のすべてにおいて言えることなのかもしれません。

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