競馬予想をしていると、「できるだけ多くの情報を集めて、多くの要素(=予想ファクター)を使った方が当たるんじゃないか」と思う方は少なくありません。ですが競馬初心者を卒業する頃になると、「予想法もほとんど知らない競馬はじめたての頃の方が当たってたな…」「血統だけで買ってれば当たってたじゃん!」と思うことが多くなってきたのではないでしょうか?なまじ知識が増えたばかりに、気になるデータをどんどん取り入れて、最終的に何を基準にしていいか分からなくなるというのはよくある話です。
予想ファクターは多ければ多いほどいいとは限りません。むしろ、多すぎることで本来の判断軸がぼやけてしまい、的確な予想ができなくなることさえあるのです。
今回は、予想ファクターをむやみに増やすことのリスクと、自分に合った予想スタイルを作るための考え方について、初心者にもわかりやすく解説します。
ファクターが多いほど当たる?その思い込みが落とし穴
競馬の予想をしていると、「血統も、調教も、脚質も、ラップも…」と、さまざまなファクターを気にしてしまうものです。たしかに、予想ファクターが豊富であることは一見“予想の精度が高まる”ように思えるかもしれません。
ですが実際には、ファクター同士が互いに矛盾し合うことも多く、それが判断を鈍らせる原因にもなります。
ファクターのぶつかり合いがもたらす混乱
たとえば、ある馬が「予想ファクターA(例:調教内容)」では複勝率80%という高水準の信頼性を持っていたとします。一方で「予想ファクターB(例:血統データ)」では複勝率10%と、かなり心もとないデータが出ていたとしましょう。
この馬がA・B両方のファクターに該当していた場合、どうなるでしょうか?
- ファクターAだけで予想していた場合:「複勝率80%なら買いだ」と判断して、強気で勝負ができたはずです。
- しかしファクターBも考慮すると:「複勝率10%の要素もあるから不安だ」となり、結局買わずに見送ってしまう可能性も。
逆もまた然りで、
- ファクターBだけで見ていれば「この馬は危ないな」と避けていたはずが、
- ファクターAの安心感に引きずられて「買ってみようかな」と、無意識にリスクの高い勝負を選んでしまうこともあります。
これがすべてのファクターで高評価の馬しか買わない“絶対の自分ルール”があるならば、それでも構いません。勝負を避ける(=ケンする)という選択肢も、競馬では立派な戦略だからです。ケンはプラスマイナス0、負けではないのですから。
しかし、ほとんどの人は「なんとなく気になったら毎回馬券を買ってしまう」もの。そういったタイプの人が多くのファクターを中途半端に取り入れてしまうと、本来は勝負できたチャンスを逃したり、逆にリスクの高い勝負に誘導されたりすることがあります。
このように、ファクターの多用は予想スタイルを曖昧にし、長期的な安定収支を遠ざける要因にもなってしまうのです。
的中率より“期待値”が基本
手当たり次第に馬券を買っているにもかかわらず、「当てる」ことにこだわりすぎると、つい予想ファクターを増やしたくなります。ですが、本当に重視すべきは“的中率”よりも“期待値(的中率×オッズ)”です。期待値についての解説は下のリンクからどうぞ。

どれだけ高い的中率を誇っていても、オッズが期待値を超えていなければ意味がありません。逆に的中率が多少低くても、オッズが期待値を超えていれば長期的な視点で見れば回収率はプラスになるはずです。
むやみにファクターを増やすことは、安心材料を積み重ねて「自分の中で買いやすくするため」の行為であり、本質的にはリスクの回避ではなく“錯覚による安心感”である場合が多いのです。
自分の“軸”を持て。予想を記録し、取捨選択する力をつけよう
予想のファクターは、自分の中でいくつか「軸」となるものを決めて、そこに集中して自分の勝負パターンを構築することが大切です。例えば、「調教内容と騎手重視」「展開と上がりタイム重視」など、自分の得意とする分野を中心に据えることで、予想に一貫性が生まれます。
そのためにおすすめなのが、「予想の記録をつけること」です。どのファクターを根拠にどの馬を選び、その結果どうだったかを残しておけば、次第に自分のスタイルが浮き彫りになってきます。
・どのファクターが当たったのか?
・どのファクターは足を引っ張ったのか?
こうした見直しを繰り返すことで、自分の予想スタイルと相性が良いファクターを理解することができるのです。

自分にあった予想ファクターを基にした予想を
予想ファクターは、たくさん使えば当たるというものではありません。むしろ、選びすぎたことで自分の判断を迷わせてしまうことも多いのです。
だからこそ、「自分に合ったファクター」「実績のある軸」といったものを中心に、予想を“シンプルに”まとめていくことが、競馬で勝ち続けるためには必要不可欠です。
そして、自分の予想を記録し、失敗と成功を分析することで、少しずつ自分にあったファクターを基にした予想法が出来上がっていきます。
安心を求めてファクターを増やすより、自分の精度を高めることで、本当の意味での“勝てる予想”を手に入れていきましょう。