競馬を始めたばかりの頃、「オッズって何?」「数字が低いほうが当たりやすいってこと?」と疑問に感じた方も多いのではないでしょうか。競馬新聞やネットの画面で目にする“オッズ”は、なんとなく見ているけど、どう活用すればいいのかよくわからない。そんな声をよく耳にします。
実はオッズは、人気のバロメーターであり、馬券戦略のヒントでもあります。ただし、初心者のうちは「オッズに振り回されてしまう」ことで、せっかくの予想を台無しにしてしまうことも少なくありません。
この記事では、競馬初心者がオッズをどう見るべきか、どのように活用すればよいかをやさしく解説していきます。馬券を買う前にちょっと立ち止まって、“オッズとの付き合い方”を見直してみましょう。
オッズについての基本
オッズ=配当の倍率
オッズとは、「その馬が勝った場合に、どれくらいの配当金がもらえるか」を示す倍率の数字です。
たとえば、単勝オッズが5.0倍なら、その馬が1着になったときに、100円の馬券が500円になります。
オッズは“人気投票”の結果でもある
オッズは固定された数字ではなく、みんながどの馬にどれだけお金を賭けているかによってリアルタイムで変化します。つまり、人気が集まればオッズは下がり、誰も注目していない馬のオッズはどんどん上がります。
単勝オッズと複勝オッズの違い
- 単勝オッズ:1着になると的中
- 複勝オッズ:3着以内(出走頭数によっては2着以内)で的中
どちらもオッズは表示されますが、意味合いが違うので注意が必要です。
初心者がオッズを見てやってしまいがちな3つの勘違い
オッズが低い=その馬が勝つ確率が高い?
これは半分正解で、半分間違いです。たしかに人気がある馬は実力もあることが多いですが、競馬は展開や馬場状態、騎手の判断ひとつで結果が大きく変わる世界。1.2倍の圧倒的人気馬が負けることも珍しくありません。
オッズが高い=弱い馬?
高オッズの馬=穴馬。だからといって、「絶対来ない」と決めつけるのはもったいないです。時には前走の不利や距離変更などで人気を落としているだけの“見落とされた実力馬”もいます。
オッズだけで馬券を決めるのが正解?
「人気順に買えば当たる」「逆張りで人気薄だけ狙えば儲かる」——そう思ってしまいがちですが、どちらも落とし穴があります。大事なのは、自分の予想とオッズを照らし合わせて「期待値」で考えることです。
期待値という考え方
少し踏み込んだ内容になりますが、期待値という考え方は、長く競馬を楽しむ上で非常に大切です。
期待値=オッズ × あなたの的中率
たとえば、ある馬が単勝10倍で、あなたの予想では「この馬が勝つ確率は20%くらい」と思えなくても…
10倍 × 0.2(20%)= 期待値2.0
→ これは期待値1.0を超える=何度も購入を続ければ必ずプラスになるので
的中率は低く見えても“買い”です。
逆に、オッズ1.2倍の馬に「80%の確率で勝つ!」と思うのならば…
1.2倍 × 0.8(80%) = 期待値0.96
→ 期待値1.0を下回る=買い続けても投資額を超えないということなので
的中率は高く見えても“買うな”です。
オッズから期待値を計算して勝負の是非を判断する
自分の予想で馬の実力を判断し、それとオッズを照らし合わせて「お得かどうか」を判断する。これが、プロの予想家や上級者たちが実践している馬券の組み立て方です。
期待値についての詳しい解説はこちら

初心者向けのオッズの使い方
期待値は初心者の方にもぜひ意識してほしい考え方ですが、まずは気楽に馬券を買いたい!という方向けの簡単なオッズの活用法も紹介いたします。オッズはいわゆる「集合知」。馬券ビギナーからガチ勢まで多くの人が予想した結果を反映したものなので、十分予想の参考することができます。
人気のバランスを確認する
単勝オッズの並びを見て、1〜3番人気がすべて5倍以下なら「堅めのレース」。
逆に1番人気が1倍台で、2~3番人気が8倍前後、4番人気以降が10倍以上と1番人気とそれ以外のオッズが離れている場合は「1強ムード」と読めます。
ただし単勝1倍台の馬の勝率は約50%です。つまり2回に1回は負けます。一方、複勝率は約80%。つまり5回に1回は馬券にもなりません。
こんなことを言っておいてなんですが、オッズから読み取れる雰囲気だけで馬券を買うのはやめましょう。
オッズの“断層”をチェック
1番人気~3番人気が3倍台、4番人気が一気に12倍以上になっているなど、人気に明確な“切れ目”がある場合は、「上位3頭で勝負が決まる」可能性が高いレースと皆が考えていると判断できます。
ちょっと話は変わりますが、このオッズの断層を利用した馬券術を提唱している人もいます。
私はその馬券術をうまく理解できていませんが…。うまくアレンジして自分の予想に取り込む、という方はいるかもしれませんね。私も一度しっかり向き合ってみましょうか…?
複勝オッズから“安定馬”を見抜くテクニック
単勝オッズだけでなく、複勝オッズにも注目してみましょう。まれに「えっ、この馬、単勝だと全然人気ないのに、複勝ではけっこう売れてる?」というケースがあります。
これは、「1着は難しくても3着以内なら可能性がある馬」として評価されている可能性があります。
これは「近走1着はないけど常に5着内は確保している馬」または「近走不振もダート・芝替わりや距離短縮・延長などで、一変を期待されている馬」に多く見られます。
- 単勝オッズ:18倍(8番人気)
- 複勝オッズ:3.2〜5.6倍(4番人気)
実際にこのような馬を狙う馬券術も存在しています。いずれにしろこのような馬に注目して馬券を購入したり、レース後の結果を振り返ると往々にして予想力向上のヒントが見つかります。

オッズとの上手な付き合い方
期待値をもとにして「オッズが低いから買わない」「オッズが高いから買う」は理にかなっていますが、上述の通り「オッズ=馬の強さ」と短絡的に考えて購入馬券を決めるのは間違いです。
初心者の方にオススメなのは、まずオッズを「気づきのきっかけ」として使うことです。
自分の予想を持ったうえで“答え合わせ”に使う
大前提として、まず自分で予想を組み立ててから、オッズと照らし合わせること。「あれ?自分がいいと思った馬、あまり人気ないな」と思ったら、その理由を探ってみることで予想力がグッと深まります。
直前のオッズ変動に注目する
馬体重の発表やパドック映像が出たあとに、突然オッズが上下する馬がいます。
直前に人気が上昇する=注目される理由がある(関係者の強気な発言、有名人がテレビで本命にしたなど)
直前に人気が急落する=危険な兆候があった(異常な馬体重の増減、パドックでの大量の発汗など)
ということ。これは意外なヒントになります。
いずれにしても“オッズに振り回されない”姿勢が大切です。一番人気の馬だからといって「買わなきゃ損」と思ったり、逆に「高配当を狙いたいから」といって無理に穴馬ばかり選ぶと、馬券で勝つために最も重要な「自分の予想」がおざなりになってしいます。
オッズはあくまで“参考情報”。主役はあなたの予想!
競馬初心者にとってオッズは、とても大事な情報です。しかしそれはあくまでも“参考”に過ぎません。
オッズを見ることで、世間の評価や馬券の人気の偏りを知ることができます。しかし一番大切なのは、自分が「この馬は来る」と思えるかどうかという予想力です。
あなたの予想が世間の評価と違っていたとしても、的中すれば大きな配当になります。穴馬券を狙う場合は、オッズが低いことで不安になるのではなく、むしろ喜ぶ姿勢が必要です。
オッズを活用しつつ、自分だけの予想を確立していきましょう。